こんにちは。院長の品川弥人です。
今回はクリニックに来る患者さんの主訴でとても多い「長引く咳」についての動画を撮りました。
長引く咳の原因と放置してはいけない危険な咳の特徴について説明してあります。文章でも説明してありますが長いので是非、下の画像をクリックして動画をご覧ください(^^)
咳の原因は大きく分けると一番多い感染症による咳(風邪、気管支炎、肺炎)とそれ以外の咳に分けれらます。
感染性の咳では、症状が軽くて自然に治ってしまえばお薬がいらないことも多いのですが、肺炎にだけは気を付けないといけません。
肺炎を疑う特徴は3つあります。
① 38℃以上の熱(特に夜に熱が上がる)
② 脈が速い(脈拍100/分以上)
③ 呼吸がハアハアする(呼吸回数24回/日)以上です。
3つのうちどれか一つあれば肺炎の可能性がありますので、病院で診察を受け、必要に応じて胸部X線や採血のチェックをしてもらいましょう。
ただし新型コロナウイルス感染症の場合は軽症の段階から急に肺炎を起こしてくることもありますので注意が必要です。また、これ以外にも胸部X線で診断できる見落とされやすい咳の原因が3つあります。
それは①肺結核 ②心不全 ③肺がんによる咳です。
結核は微熱や寝汗が長期間続いているときに疑います。心不全は体を動かしたときや夜横になったときに咳と共に呼吸が苦しい症状が出る特徴があります。肺がんの場合は血痰を伴うこともあります。いずれも一般的には胸部X線で診断できるものです。
さて、病院で風邪や気管支炎と言われて、肺炎もないのに、お薬を処方されてもその後なかなか咳が止まらない場合がありますね。この状態を感染後咳嗽と言います。
この場合、咳が多少長引いていても徐々に良くなっていれば問題ないことが多いです。特徴としては昼夜関係なくちょっとした刺激で咳が出やすいことが挙げられます。
対処としては以下の3つになります。
①マスクをして乾燥した空気、冷たい空気などの刺激を避ける
②のど飴や水を飲んだりしてこまめに喉を潤す
③一般的な咳止めを使用する
ただしこの咳はお薬を使っても必ずしもピタッと止まるものではなく、徐々に治っていくものだということを覚えておきましょう。
次に風邪や気管支炎後の咳が3週間たっても改善しない場合、あるいは先行する風邪の症状がなく、咳だけが3週間以上続く「長引く咳」(遷延性咳嗽、慢性咳嗽)についてです。これは大きく分けると以下の4に分けられます。
① 咳喘息
② アトピー咳、 喉頭アレルギー
③ 副鼻腔気管支症候群
④ 逆流性食道炎に伴う咳
①咳喘息
喘息は呼吸がヒューヒュー、ゼーゼーなる病気ですが、 咳だけが続く咳喘息という病態があります。 特徴として 明け方に咳が出やすい、 子供の頃に喘息の既往があった、 風邪をひくといつも咳が長引くなどが挙げられます。 この場合は気管支喘息に使う吸入薬や気管支拡張薬がよく効きます。
② アトピー咳/喉頭アレルギー
これはアレルギーが原因となっている咳です。 特徴として喉のイガイガする感じが持続する、 寒さ、会話、運動などで咳が誘発される、咳喘息と同じく夜間から早朝に咳が起きやすいなどの特徴があります。 この場合はステロイドの吸入薬や抗アレルギー薬の内服が効きます。
③ 副鼻腔気管支症候群
これは副鼻腔炎があり、 鼻水が喉の奥を伝って垂れてくる刺激によって出る咳です。 黄色の痰を伴うことが多く、鼻炎症状が長く続いていること、 鼻の周囲の痛みがあることなどが特徴です。 鼻炎の治療や抗生物質の使用で良くなることが多いです。
④ 逆流性食道炎に伴う咳
これは胃酸が食道を逆流し、刺激になって出る咳です。 胸の痛みや胸焼けを伴うことがあり、咳は会話、起床時、食事などで悪化することが多いと言われています。また、咳払いや嗄声も過半数で認められます。胃酸を抑制するお薬が効きます。
最後に、ACE阻害薬という血圧のお薬の副作用で咳が出ることがあります。 ただしこの咳はあまり悪い咳ではありません。気道の異物への反射が亢進することで誤嚥性肺炎を防ぐ作用もあると言われていますので高齢者であえてこのお薬を使うこともあるのです。 ただし日常生活で困るぐらいの咳であれば薬の変更をお願いしましょう。
以上、長くなりましたが咳についての説明でした!