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心不全てどんな病気?

2018/05/21更新

こんにちは。院長の品川弥人です。心不全でどんな病気かご存知ですか?文字通り心臓の機能が低下する状態なのですが、最近はマスコミやニュースで話題に上ることが多い一方で、どんな病気だかピンとこない方も多いのではないでしょうか。

昨年、日本循環器学会と心不全学会が一般の方にわかりやすく心不全のことを知ってもらうために、病気の定義を「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。」と発表しました。我が国の循環器疾患の死亡数は、癌に次いで第2位となっており、心不全による5年生存率は50%と予後についても癌と同程度で、決して良くありません。しかしその事実と心不全の具体的な病態についてはあまり知られていないのが現状です。

 心不全は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、喫煙習慣、心臓弁膜症や心筋梗塞などのあらゆる心臓疾患を持っている人が予備軍になります。症状は早歩きや階段を上った際の息切れ、足のむくみ、夜横になって寝ていると息苦しくなる、などが典型的です。気づかないで放置しておくと、ある日突然呼吸困難が起こり、救急搬送となる恐れもあります。診断は胸部レントゲン写真、心臓超音波、採血などで総合的に判断しますが、採血でBNPやNT-proBNPという項目をみれば、簡便に状態がわかります。生活習慣病や心臓疾患でおかかりの方は、かかりつけの先生にチェックしてもらうと良いでしょう。

 日常生活での予防は減塩を基本とした血圧管理が第一です。また、糖尿病や脂質異常症の管理、禁煙などの生活習慣も発症予防にかかわってきます。治療は薬物治療が基本になります。血圧や心臓の負担を調整する薬剤や利尿剤が代表的な薬です。早期発見により適切な治療が可能ですので、疑わしい症状がある方は循環器内科の受診をおすすめします。 
心不全はその進行に生活習慣が大きくかかわってくる病気です。しっかりと管理ができれば多くの場合は良い状態を維持できますが、一方で増悪による入院を繰り返すと命を縮める病気です。是非正しい知識をもって、心不全の予防に努めましょう。